2013年5月31日金曜日

2013/5/26 いわき市末続地区 WBC測定と説明会 ご報告

 2013年2月13日、いわき市の末続地区では、公益財団法人 震災復興支援放射能対策研究所 と内部被ばく検査の健康調査等業務委託協定を締結しました。
 4月12、13日、この協定に基づき、福島のエートスとの共同で、ひらた中央病院において、地区の希望者全員を対象にWBC測定を行いました。
 受検者申し込みや受付リスト作成など事務手続きは、末続地区で行い、当日は、バス2台を貸し切り、検査に行きました。
 受検者数は、124名でした。

 5月半ば、検査結果は、末続区長の手元に世帯別に封付けされて一括送付され、区長が検査結果を各世帯に配布しました。

 5月26日(日)、WBCの測定結果についての説明会が、末続集会所にて開かれました。
 説明者には、福島県立医大の宮崎真さんにおこしいただきました。
 参加者は約50名ほどでした。

 説明会内容の概要は以下のとおりです。

 説明会では、WBCとは、いったい何を測っているのか、という説明からはじまりました。

 まず、自分が一日どの程度のベクレルを摂取していると思うか、と挙手で回答をしてもらいました。
    (自分が一日で食べるすべての食品内に含まれるベクレル総量)
    1) 0.1 ベクレル
    2) 1 ベクレル
    3) 10 ベクレル
    4) 100 ベクレル
多くの人が、1)、2)で挙手をし、ごく少数3番程度の人がいました。
 続いて、現在食べている食品の入手先についての質問がありました。
    1) 産地を選んでスーパー・通販で購入
    2) 産地を選ばないでスーパー・通販で購入
    3) 自宅近隣で耕作したものを食べる
    4) 野生・天然ものを採取して食べる

 WBCそのものは、体内の放射能量を測る機械ですが、実際には、食生活の中の放射能量がわかる検査です。
 そして、事故から2年経って、現在までの調査で、事前に食材の調達先を聞く事で、WBCの数値はあらかじめ予測がつくようになっています。
 上記二番めの質問、1)~3) までの回答の場合、1番めの質問では 1) 0.1ベクレル、コンマ一桁レベルになります。
 一方、二番めの質問で 4) 野生・天然ものを採取して食べる を選んだ方の場合、食べ方(どれくらいの量を食べる、頻度で食べる、なにを食べる)によって、まったく違ってくるため、予測がつきません。
 これは、福島県内のどの地域でも、同じ結果が出ています。
 つまり、地域の問題ではなく、「食べ方」の問題だ、ということになります。
 重要なのは、WBCで自分自身のセシウム摂取量が「わかる」ということです。
 WBCは、自分自身の食生活について確認するための検査なのです。

 個別の食品については、食品を検査し、自分が実際に摂取した食品については、WBCで確認する、という風にWBCを利用してもうとよいのではないかと思います。

 ひらた中央病院でのWBCの検出限界は、セシウム134、137ともに 300Bq/body です。
 もし、この検出限界ギリギリまで体内に放射能があるとすると、この一年間で、一日平均ほぼ 2~3Bq 程度の放射性セシウム(この場合はセシウム137単独)を摂取してきたことになります。
 しかし、放射能は、常に測定に揺らぎがあるため、いつも 300Bq かっちりになるわけではありません。
 仮に、全員がギリギリ 300Bq 以下であった場合は、集団で測定した場合、半数は、300Bq 以上で、検出されます。
 しかし、今回の末続含めた福島の測定結果では、ほとんどの方がNDでした。
 ということは、300Bq ギリギリの方もほとんどいない、ということになります。
 これは、地元産のものを食べている、食べていないに関わらず、同じ結果になっています。

 「シーベルト」という単位は、直接測ることは出来ませんが、様々なやり方で推測、計算することができます。内部被ばくや外部被ばくの影響を同じ単位として扱い、比較できるものです。
 仮に、セシウム137がWBCで正しく 300Bq 検出された場合に、セシウム134も存在すると考えての年間内部被ばく量は、およそ 0.02mSv(ミリシーベルト)= 20μSv(マイクロシーベルト)と考えられます。(なお日本人の平均的な自然からの内部被ばく量は一年間で約 1.5mSv とされています。)
 仮に、一年間の外部被ばく量が、1.5mSv=1500μSv であった場合、これに 20μSv が加算され、1520μSv/年 の被ばく量になります。

 それから、会場からの質問のあと、個別の質問にも答えていただきました。
 今回の説明会でも強調されたのは、不安に思うなら、なんとなくではなく、まず、自分自身の数値を知ってみよう、ということだと思います。
 そして、大切なのは、イメージではなく、「自分自身の実際の数値を知ること」。
 イメージでは、対処しようがありませんが、測れば、対処方法が見つかります。

 末続地区では、継続的に個別積算計を装着している方がいらっしゃるため、一年間の外部被ばくの実測値がわかってきています。
 ご自身の被ばく量を知りたい方には、今後も、個別積算計をお貸しして、計測できるようにしていきます。


 また、今回、福島のエートスでは、お預かりしたご寄付金により、ポリマスター社PM1406 を購入致しました。

 ご寄付賜りました皆さまには、心から御礼申し上げます。
 末続地区内に設置し、WBCの測定とあわせて、食品計測器で身の回りの食品を測定できる環境を作っていきたいと思っています。
 自分自身の暮らしを守るために、自分たち自身で測定し、コントロールできる環境づくりのお手伝いを今後も続けていきたいと思っています。


 以下は、私の感想です。
 今回、地区として集団でWBC測定を行うお手伝いをすることができました。
 煩雑な事務処理や、連絡等は、区長さんを主に、末続地区の方が一切を行ってくださいました。
 地区として行うことは、測定後のアフターフォローの面を考えても非常に便利ですし、同時に、地域の方達にとっては、測定そのものに対する不安感をやわらげ、一定の安心感を持っていただくことに寄与したのではないかと思っています。
 個別の測定の場合、測定前後もなかなか誰かと話すことができず、またなにか聞きたい事が出てきても、誰に聞けばよいかわからない、ということになりがちです。
 個人情報の観点から、測定値そのものはご本人の管理するものとなりますが、自分自身の測定について互いに話せる環境を作っていく、ということも、並行して大切なことなのではないか、と感じています。
 また、前提として、その地域の、自分たち自身の「実測値」がある、ということは、なにより重要なことと思います。
 どのような話をしていても、実測値がなければ、情報とイメージのやり取りをするだけになり、自分たち自身の確たる現実への対処方法への話にはなっていきません。
 そして、その実測値は、与えられるのではなく、地域の方ご自身の手で得られる形にするのが最良の方法と思います。
 そうして得られた実測値は、測定された方ご自身の財産になります。
 いくつかのガイドとなる助言があれば、誰よりも深く理解し、その利用方法についても、理に叶ったものをご自身で考えられます。
 もちろん、すべての人がそうなるわけではありませんが、そうした方が地域にいらっしゃる、それがその地域にとっては、なによりの大きな財産になるのだ、と、感じています。

付記:
 今回の説明会の会場では、東京のフォトグラファー高井潤さんが撮影した末続地区の例大祭の写真が展示されました。
 高井さんは、昨年から継続的に末続に足を運んで、写真を撮ってくださっています。
 どうもありがとうございました。 


・今回の経費
フォトフレーム代 15,365円
交通費 20,000円
昼食費 4,000円
文房具代 4,410円
――――――――――――
合計 43,775円

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